発達障害の診察

以前は発達障害=「自閉症」を意味していましたが、最近の概念では脳の機能に何らかの障害があり、行動や思考に偏りが現れ、介入を必要とするものを指します。
発達障害は、AD/HD、自閉症、学習障害など大きくいくつかの種類に分けられ、これらの障害は併存することもあります。
目には見えにくい障害であるため、本人のわがままや、親のしつけのせいにされることがありますが、本人の性格や保護者の育てかたの問題ではありません。脳の機能の問題であるため、障害自体はなくなるものではありませんが、周囲の適切な理解やサポート・環境調整・薬物療法等によって生活のしにくさは改善が望めます。

治療に対する考え方

01.治療にヒミツを持ち込まない
当院では、告知(検査結果や診断名についての報告)の際、ご両親と本人同席で行っています。特に思春期以降は本人がその気がないと、治療がスタートできないため、本人とよく話し合って、合意の上の受診を案内しています。
02.お薬の使い方
「薬を使わない」というのは、かなり治療の可能性を狭めてしまうと考えていますが。最小限の使用を心がけています。偏見にとらわれず、必要があればお薬も使っていく方針です。
03.「大丈夫ですよ。」「様子を見ましょう」って大丈夫?
気になることをそのままにしておいて、良くなることはまずありません。前を向いて一歩踏み出してもらうことを方針にしています。
04.受診については家族で検討してみる
例えば本人と母親は受診したいが父親が反対しているケースがあります。家庭内の意見が一致していないと治療の中断になりやすいようです。よく話し合って家庭内の合意を得てからの受診をお勧めしています。

集団療育や母親教室の実施

当院では個人カウンセリングを行っておりません。発達障害はコミュニケーションの問題も多く、個人的な療育よりも集団療育がより有効だと考えています。そのため、小学生グループ、中高生グループと学年、性別に合わせた集団療育を行っています。また、保護者の方がこどもたちへのかかわりを学ぶ場所として、ペアレントトレーニング、サポートブックの作成など保護者の方を対象とした学習会も実施しています。子どもへの対応の学習だけなく、お母さん同士のコミュニケーションの場所としても大変好評です。